採用ピッチ資料20選！作成フローやメリット、ポイントもご紹介！

採用活動を円滑に進めるため、採用情報を「オープン化」する企業が増えています。
その一環として、会社概要や採用情報を求職者向けに示す「採用ピッチ資料」を公開することが有効です。採用ピッチ資料の作成を検討する担当者様の中には、

など、さまざまな疑問や不安を抱える方も多いでしょう。
本記事では、採用ピッチ資料について、そのメリットや記載事項、作成フローを実際の参考事例とともに解説します。

監修者情報

株式会社uloqo代表取締役
関川 懸介
アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月株式会社uloqoを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。詳しいプロフィールはこちら

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採用ピッチ資料とは？

採用ピッチ資料とは、応募者向けの会社説明資料のことです。

ピッチとは「短いプレゼンテーション」を意味し、この資料では応募者が知りたい情報（事業内容、社風、社員、職場環境など）やメッセージを、体系的かつストーリー性を持って伝える採用手法です。

企業サイトに掲載されている一般的な会社紹介資料とは異なり、採用ピッチ資料は応募者をターゲットにしています。

企業サイトは株主や投資家、お客様など様々な方に向けて幅広い内容を公開するのに対し、採用ピッチ資料では、応募者に向けて応募や就職を検討する際に必要な情報を効果的に伝えます。

作成するメリットは？

採用ピッチ資料を作成することには、企業・候補者双方にとって多くのメリットがあります。ここでは主なポイントを紹介します。

それぞれについて詳しく説明します。

自社の魅力を一貫して伝えられる

面接や求人票だけでは伝えきれない自社のビジョン・カルチャー・成長性などを、整理された資料を通じて一貫して届けることができます。候補者によって伝える内容にバラつきが出るリスクも軽減されます。

ミスマッチが防ぎやすくなる

企業理解が深まることで、候補者は「自分に合っているか」「どんな働き方になるのか」を具体的にイメージできます。その結果、選考辞退や入社後のギャップによる早期離職のリスクを減らすことができます。

選考の初期段階で関心を引ける

採用ピッチ資料はスカウトメールや会社説明会、カジュアル面談などの早いタイミングで活用できます。視覚的にも訴求力があるため、候補者の興味・関心を高め、選考へのモチベーションを引き出すのに有効です。

採用担当者の工数削減につながる

資料が整っていれば、候補者への説明がスムーズになり、毎回同じ内容を口頭で説明する手間が省けます。また、社内の他メンバーにも共有しやすく、選考の一貫性が高まります。

自社ブランディングの強化につながる

魅力的な資料は、単なる採用活動のツールを超えて、企業ブランディングにも貢献します。SNSや採用サイトなどでも活用すれば、自社のイメージを広く発信する武器になります。

採用ピッチ資料に入れる内容

採用ピッチ資料には「会社概要」「組織概要」「採用情報」の３つを記載するのが一般的です。

具体的にどのような情報をどこまで載せると良いのか、以下に解説します。

会社概要

候補者に企業全体の基本情報とビジョンを伝えることが目的です。ただし、単なる会社案内にならないよう、「なぜこの会社が存在しているのか」「何を目指しているのか」を中心に構成するのがポイントです。

組織概要

組織概要では、どのようなメンバーがどのような文化のもとで働いているかを伝えることで、働く環境のイメージを持ってもらいます。候補者が「このチームで働きたい」と思えるようなリアルな情報が重要です。

採用情報

現在募集している職種やポジション、その背景や求める人物像など、採用に関する具体的な情報を記載します。読み手が「自分に合っている」と判断しやすい情報を整理することが重要です。

【5ステップ】採用ピッチ資料の作成方法は？

採用ピッチ資料は、企業が候補者に自社の魅力を伝えるための重要なツールです。以下の5ステップで、効果的な資料を作成しましょう。

それぞれについて詳しく説明します。

ステップ1：採用ターゲットを明確にする

まずは、どのような人材を採用したいのかを明確にしましょう。ターゲットとなる人材のスキル、経験、志向性などを洗い出し、その人物像に響く内容を意識することが大切です。

ステップ2：会社のミッション・ビジョンを伝える

候補者が共感できるよう、会社の存在意義や目指す未来を言語化しましょう。単なる企業情報ではなく、「なぜこの会社が存在するのか」「どんな社会的価値を生み出しているのか」を伝えることがポイントです。

ステップ3：事業内容・プロダクトを魅力的に紹介する

どんな課題を解決するビジネスなのか、なぜその事業に取り組んでいるのかを丁寧に伝えましょう。プロダクトの強みや独自性、マーケットの将来性などを具体的に示すと、説得力が増します。

ステップ4：働く環境・カルチャーを可視化する

社内の雰囲気や働き方、制度など、働くイメージが湧く情報を盛り込みましょう。社員の声や写真、1日の流れなども効果的です。リアルな情報は候補者の不安を解消します。

ステップ5：採用メッセージ・募集ポジションを明確にする

最後に、誰を募集しているのか、どんな期待があるのかを具体的に記載しましょう。「なぜこのポジションが重要なのか」「入社後どんな成長ができるのか」など、応募の動機につながるメッセージを添えるのがコツです。

採用ピッチ資料を作成する際のポイント3つ

採用ピッチ資料を効果的に活用するためには、作成段階でいくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。このセクションでは、特に意識すべき3つのポイントについて詳しく説明します。

それぞれについて詳しく説明します。

1. 求職者の視点を意識する

採用ピッチ資料を作成する際は、常に求職者の視点に立つことが重要です。例えば、求職者が「この企業で働くことの魅力は何か」や「自分がこの会社で成長できる理由は何か」といった疑問を持つことを念頭に置くべきです。

これらの疑問に明確に答える内容を盛り込み、共感を得る構成を目指すことが求められます。社員インタビューや業務内容をストーリー形式で紹介する方法も、求職者に親しみを感じてもらうために効果的です。

2. 簡潔で分かりやすい言葉を使う

採用ピッチ資料では、専門用語や難解な表現を避けることが求められます。簡潔で要点を押さえた文章は、誰でも理解しやすい印象を与えます。

たとえば、「業務改善ソリューションを提供する」といった表現を、「業務効率を上げるためのサービスを提供する」と言い換えるだけで、より親しみやすく伝わります。また、内容の濃さを損なわない範囲で情報量を絞り込み、読む側の負担を軽減することも重要です。

3. ビジュアル要素を利用する

視覚的な要素を活用することで、資料の内容は一層効果的に伝わります。たとえば、複雑なデータはグラフや図表を使って視覚化し、理解を助ける工夫が求められます。

また、オフィスや社員の活動を写真で紹介することで、企業の具体的な雰囲気を伝えられます。さらに、資料全体のデザインについても注意が必要です。統一感のある色やフォントを選ぶことで、資料全体にプロフェッショナルな印象を与えることができます。

採用ピッチ資料20選

採用ピッチ資料を公開している企業の参考事例20選をご紹介します。

株式会社SmartHR

株式会社SmartHRは、採用ピッチ資料のパイオニアとして知られ、図や表を多用し、数字を積極的に活用することで分かりやすい資料を提供しています。会社の環境や状況が具体的にイメージしやすい点も特徴です。

また、サービスの業績を開示することで、魅力的な企業であることをアピールしています。数字で社会への貢献度を示すことで、企業理念に共感してもらう後押しにもなります。

株式会社ミラティブ

ミラティブ社の採用ピッチ資料は、採用ピッチ資料の公開を加速させた流れを示しています。また、「採用候補者様への手紙」という求職者に寄り添ったネーミングが注目を集めました。

株式会社FABRIC TOKYO

FABRIC TOKYO社は、クラウド上にサイズの採寸データを登録し、オーダースーツやシャツをオンラインで購入できるサービスを提供しています。

彼らのファッショナブルなスライドは企業のコンセプトを表しています。ユニークな社内転職制度である「転チャレ」を活用した社員の生の声を知ることができる点も魅力です。

STORES株式会社

STORES株式会社は、ネットショップを作成するプラットフォーム「STORES.jp」を提供しています。彼らの採用ピッチ資料は、珍しい縦長のフォーマットを採用しており、スマートフォンで閲覧する際に配慮されていると考えられます。

目次も6つのみで構成されており、必要最小限の情報に絞り、図や写真を多用することで、応募者が資料を読みやすくしています。

株式会社チカク

株式会社チカクの採用ピッチ資料は、「まごチャンネル」という子どもや家族の日常動画を提供するサービスを明るいオレンジを基調として紹介しています。彼らの資料は、サービスを立ち上げるきっかけとなったエピソードなどを丁寧に説明し、ストーリー性を持って事業を理解できるようになっています。

商品を提供する際の想いや顧客への影響を具体的にイメージできるため、企業の理念に共感してもらいやすくなっています。

株式会社HRBrain

HRBrain社は、従業員の目標設定から評価までのオペレーションをクラウド型のソフトウェアで効率化し、組織の生産性を向上させる人事評価サービス「HRBrain」を提供しています。

彼らの採用ピッチ資料は、社風として「チャレンジ」を応援することが強調されており、メンバー紹介のスライドをはじめ、全体的なデザインや内容にその姿勢が表れています。

株式会社キャディ

キャディ株式会社は、独自の画像解析アルゴリズムを搭載した図面データ活用クラウド「CADDi DRAWER（キャディ ドロワー）」や、金属加工部品の受発注プラットフォームを提供しています。

また、職種別に採用ピッチ資料を公開し、給与テーブルも明示することで、企業の魅力を効果的に伝えています。

Ubie株式会社

Ubieは「世界中の人々を適切な医療に案内する」というミッションを掲げ、AIを活用した業務効率化や病気予測のサービスを提供しています。

note上に職種ごとの採用ピッチ資料を分けて掲載しており、求人票レベルの詳細な求人情報や職種ごとの事業戦略も公開しているのが特徴です。

株式会社うるる

うるるは「人のチカラ」を基軸に、ITやAIを活用してDXを推進し、様々な生産性を向上させるサービスを提供しています。

画像やグラフを効果的に活用し、事業内容をわかりやすく説明しています。

株式会社ベイジ

株式会社ベイジは、BtoBマーケティングとUI/UXデザインに強みを持つweb制作会社です。

100ページを超える採用ピッチ資料には、多くの実績が掲載されているほか、事業内容や自社の強み、差別化のポイントなどが詳細かつ丁寧に説明されています。

LAPRAS株式会社

AIを活用したヘッドハンティングサービスを提供しているLAPRASの紹介です。事例紹介や今後のロードマップが詳細に記載されており、部活動やイベントの写真が豊富なので、社内の雰囲気をイメージしやすくなっています。

カラビナテクノロジー株式会社

カラビナテクノロジー株式会社は、システム開発・アプリ開発・Webサイト制作を手がけています。通常の採用ピッチ資料が事業説明から始まるのに対し、まず社風や文化を紹介し、その後で「で、何をやっている会社なの？」とサービスの説明に進むという独自のスタイルを採っています。

自社の強みを理解し、他社との差別化を図る良い例です。全体として、読み手にとって親しみやすいコミュニケーションをとっているのが印象的です。

BASE株式会社

ネットショップ作成サービス「ベイス（BASE）」を展開するBASE株式会社は、サービス紹介やプロダクト作りの哲学と行動指針、さらには社内制度や福利厚生についても公開しています。どのような環境で働けるのかをイメージしやすい採用ピッチ資料となっています。

株式会社freee

スモールビジネスを支えるクラウド会計ソフトをはじめ、統合型経営プラットフォームを展開するfreee株式会社。プロダクト開発の思想や行動指針、チームの文化、制度設計などを幅広くオープンにすることで、「どのような人たちと、どんな環境で働けるか」を具体的にイメージできる採用ピッチ資料となっています。

株式会社PLEX社

運転士特化の転職・求人サイト「ドライバージョブ」を運営するPLEX社。最近公開された採用ピッチ資料は、物流業界の課題を分かりやすく説明し、「日本を動かす仕組みを作る」仲間を募集するという強いメッセージが印象的です。

メンバー紹介のスライドには、PLEX社の楽しいところや向いている人の特徴が記載されており、働く環境がイメージしやすい資料となっています。

株式会社ワンキャリア

就職活動に関して、各企業に関する学生の口コミをまとめたサービスを提供するワンキャリア。ピッチ資料では、組織や事業の魅力について「1分でわかる」と題し簡潔に説明しているのが印象的です。

Chatwork株式会社

国内利用者数1位のビジネスチャットツールを運営するChatwork株式会社。

企業が挑む課題についてわかりやすく提示し、企業理念を印象的に伝えています。図やグラフを効果的に活用しています。

株式会社リンクアンドモチベーション

リンクアンドモチベーション社は、組織と個人をつなぐプラットフォーム「モチベーションクラウド」や、組織課題を解決するコンサルティングサービスを提供しています。

ソフトウェアエンジニア向けに特化した採用ピッチ資料を掲載し、開発組織やチーム体制を詳細に公開することで、入社後のイメージを持ちやすく工夫されています。

note株式会社

クリエイターが「創作」に専念できるプラットフォームをつくるnote株式会社では、エンジニア向けに上のようなピッチ資料を後悔しています。

企業理念や、共有されたバリューをわかりやすく丁寧に紹介しています。図や写真が適切に使われていて、見やすい資料になっています。

atama plus株式会社

AIを活用した教育プロダクトの開発および提供するatama plus株式会社。ピッチ資料では知名度の高い業務以外にも、模試事業など、幅広い事業をわかりやすく紹介しています。

採用ピッチ資料についてよくある質問(FAQ)

最後に、採用ピッチ資料についてよくある質問をまとめました。

採用ピッチ資料と求人ピッチの違いは？

採用ピッチ資料は企業全体の魅力やカルチャーを伝える資料で、求人ピッチは特定ポジションの仕事内容や魅力に特化した資料です。

採用ピッチ資料と会社説明資料の違いは？

会社説明資料は主に事業内容や沿革などの事実情報を伝えるのに対し、採用ピッチ資料は「なぜこの会社で働くべきか」を訴求する資料です。

採用ピッチ資料の時間はどのくらいですか？

基本的には5〜10分程度で要点を伝えられる内容が理想です。長くても15分以内に収めましょう。

採用ピッチ資料は誰が作るべき？

採用担当者が中心となって作成しますが、現場社員や経営陣の協力を得て、リアルな声や理念を反映することが重要です。

採用ピッチ資料はいつ・どこで使うのがベスト？

カジュアル面談や説明会、スカウトメールの添付資料などで使用するのが効果的です。選考前の段階で使うことで応募意欲を高められます。

まとめ

本記事では、採用ピッチ資料について、20の参考事例とともに作成方法やメリットをご紹介しました。
自社の魅力や理念が伝わる資料を作成する際にはぜひ、本記事で紹介した事例やポイントを参考にしてみてください。

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