こんにちは。digireka!HR編集部です。日々の業務に追われ、賃金制度を見直す機会が少なくなっているのではないでしょうか。しかし賃金が会社の現状に見合ってなければ、社員のモチベーションの低下や会社全体の業績の低下に繋がりかねません。
今回は給与体系のあり方から、賃金制度の見直し方法までを徹底的に解説します。
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給与体系とは
給与体系とは、賃金を決定する際に基準となる賃金支払い項目の組み合わせを指すものです。日本独特の言葉であり、一般的に基本給と各種の手当てを合わせた形をとります。従業者の給与内訳や給与計算の方法を理解しておくことは、安定した会社経営のためには不可欠の要素です。
給与計算とは?基礎知識から計算手順、気を付けたいミスまで解説します
給与体系の種類
給与体系は、所定労働時間の労働対価としての基準内労働とそれ以外の基準外労働とに大別されます。
基準内賃金
所定内労働時間の労働について、その対価として支払われるのが基準内賃金です。
基本的な労働に対して支払う賃金を基本給といい、
- 年齢や勤続年数などの属人的な要素で算定される「属人給」
- 職務内容や業務遂行能力などの仕事的な要素で算定される「仕事給」
- 属人的要素と仕事的要素を総合的に勘定し算定した「総合級」
これらの3タイプがあります。
基準外賃金
所定労働時間外に対して支払われるのが基準外賃金です。
通勤手当や家族手当、住宅手当などがこれに当たります。
割増賃金
上記の給与体系に加え、法定労働時間を超えた労働には割増賃金の支払いが定められています。割増賃金の内訳は以下の3つとされます。
- 時間外労働割増賃金:1日8時間、週40時間を超えた労働が対象です。
- 休日労働割増賃金:法定休日における労働が対象です。
- 深夜労働割増賃金:午後10時から午前5時までの間の労働が対象です。
賃金支払いにおける5原則
労働基準法24条では、労働者が確実に給与を受け取れるよう「賃金支払いの5原則」が定められています。給与体系を理解する前に、法律で給与がどのように定義されているかを確認する必要があります。
①通貨払いの原則
賃金は、通貨(現金)で支払わなければなりません。小切手や自主株、また外国通貨による支払いは原則禁止されています。
しかし例外も規定されており、銀行口座への給与振り込みは認められています。
②直接払いの原則
賃金は、労働者本人に直接支払わなければなりません。たとえ未成年の労働者であっても、親が代わりに給与を受け取ることは許されません。派遣社員の場合は派遣先ではなく派遣元から給与が支払われますが、派遣社員の雇用主はあくまで派遣元であることからこれは違法ではありません。
③全額払いの原則
賃金は、労務分の全額を支払わなければなりません。ただし「法令に別段の定めがある場合」は除かれ、所得税や社会保険料の控除などがこれにあたります。労使協定が結ばれている場合も控除可能です。
④毎月一回以上払いの原則
賃金は毎月一回以上の支払いが定められています。賃金支払いの間隔が空きすぎると労働者の生活が不安定になるからです。臨時の賞与を除き、賃金は毎月一回以上、一定間隔で支払う必要があります。
⑤一定期日払いの原則
賃金は一定の期日を定めて支払わなければなりません。「毎月第4水曜日」などの定め方では年間に変動幅が7日間もあるため適切ではありません。「毎月25日」といった具体的な期日を定めましょう。
給与体系を見直す理由
現行の給与体系は長年にわたって運用されてきましたが、昨今の経済状況や労働市場の変化、また社内外からの多様なニーズの高まりにより、制度の見直しが必要とされています。主な理由は以下のとおりです。
- 人材確保と定着のため
- 成果に基づく公平な評価の実現
- 働き方の多様化への対応
- 組織の中長期的な成長戦略への対応
それぞれについて詳しく説明します。
人材確保と定着のため
優秀な人材の採用および既存社員の定着を図るためには、業界水準や市場相場と比較して競争力のある給与体系が求められます。特に若手や専門職人材の流動性が高まる中で、魅力ある報酬制度は企業の競争力そのものと言えます。
成果に基づく公平な評価の実現
従来の年功序列型の体系から、個人やチームの成果に応じた公正な報酬分配へと転換することで、社員のモチベーション向上と生産性の向上を目指します。
働き方の多様化への対応
テレワークやフレックスタイム制度、副業容認など、働き方が多様化する中で、柔軟性を持った給与体系が求められています。これにより、様々なライフスタイルや価値観を持つ人材の活躍を促進します。
組織の中長期的な成長戦略への対応
企業の成長段階に応じて求められるスキルや貢献の在り方が変化する中で、将来を見据えた人材育成と報酬戦略の整合性を図る必要があります。
給与体系見直しのタイミングは?
給与体系の見直しは、組織の状況や外部環境の変化に応じて適切なタイミングで実施することが重要です。以下のようなタイミングが、見直しの検討に適しています。
それぞれについて詳しく説明します。
経営戦略や組織体制の変更時
新たな中期経営計画のスタートや、事業の拡大・再編、組織再編など、企業の方向性が大きく変わるタイミングでは、それに見合った人材の確保・育成が求められます。これに対応する形で、報酬制度も再設計する必要があります。
人事制度全体の見直し時
等級制度や評価制度の刷新と連動して、給与体系を見直すことで、制度全体の整合性を高めることができます。これにより、社員にとっても分かりやすく、納得感のある仕組みが実現されます。
人材確保が困難になってきたとき
採用競争が激化し、優秀な人材の確保が難しくなってきた場合には、給与水準や報酬制度を見直すことで、企業としての魅力を高めることが可能です。
離職率が高まっているとき
社員の離職が目立つようになった場合、その要因が報酬制度にある可能性も考えられます。原因分析とあわせて、見直しを行うことで定着率の改善を図ります。
法改正や社会情勢の変化時
最低賃金の改定、同一労働同一賃金の推進、インフレなど、社会的・制度的な変化に応じて、現行の給与体系が実態と乖離していないかをチェックし、必要に応じて調整を行います。
【4ステップ】給与体系見直しの手順は?
給与体系の見直しは一度に大きな変更を加えるのではなく、段階的に進めていくことが重要です。ここでは、スムーズかつ効果的に見直しを進めるための4つのステップをご紹介します。
それぞれについて詳しく説明します。
①賃金水準の調査
給与体系を見直す際は、まず自社の賃金が市場と比べて適正かを確認します。主な調査方法は以下の2つです。
- 賃金構造基本統計調査:厚生労働省が毎年公表する、業種・職種別の賃金データ。信頼性が高く、基準として活用できます。
- 民間の調査データ:民間調査機関や労働組合などの統計も参考になりますが、調査方法に注意し、国の統計と併用するのが安全です。
②賃金制度の見直し
調査を踏まえたうえで、会社の求める従業員像に合わせて賃金項目や報酬基準を見直していきます。主な見直しの内容は次のトピックで紹介します。
③移行シミュレーション
賃金制度を変更したら、実際の導入前に入念なシミュレーションを行います。
シミュレーションでは既存社員を新制度に当てはめ、現行給与との比較をし賃金総額が意図した結果になっているかを確認します。不都合があればその度に該当手順に戻り、再度構成を再協議していきます。
シミュレーションを行うことで、変更後の制度が自社の実情に合っているか、不備がないかが確認でき導入後の受け入れがスムーズになります。
④従業員への説明
シミュレーションが終わったら、賃金制度を実際に運用していきます。そしてその際、従業員に資料配布をしてどの点が変更したか、その意図や運用法を説明する責任があります。従業員が新しい改革案を正確に理解した状態で運用を行いましょう。
賃金制度を見直す際に注目すべきポイント4つ
賃金制度を見直す際に注目すべきポイントが4つあります。
それぞれについて詳しく説明します。
賃金構成内容
基本給の欄で上げた属人給、仕事給、総合給にはぞれぞれ用いる上での長所・短所があり、理想の社員像や労働市場の状況に合わせて構成を考える必要があります。
デメリット:仕事の成果によらず昇進、昇給する場合があるため仕事の意欲減退につながり得る。
デメリット:勤務年数が長くても減給される場合があり、属人給に比べ収入が不安定。
デメリット:評価基準が複雑となり体系構築までの負担が比較的大きい
しかし現代では属人給、仕事給の一方のみを採用する企業は少なく、ほとんどがそれらを組み合わせた総合給を用いています。
各種手当内容
例えば女性活躍が推進される中、家族手当は廃止傾向にあります。
支払方法・期間
内容分析
賃金制度の見直しについてよくある質問(FAQ)
最後に、賃金制度の見直しを検討している企業の方によく寄せられる質問をまとめました。
賃金制度見直しにおける注意点は?
制度変更に際しては、社員の納得感を得るための説明責任や、労働条件の不利益変更にあたらないような設計が重要です。法令遵守と社内合意形成の両立が求められます。
最低賃金は2024年10月にいくらになりますか?
2024年10月の最低賃金は都道府県ごとに異なりますが、全国加重平均で1,004円となっています(前年比43円引き上げ)。地域別の確認が必要です。
給料の見直しはいつ行われますか?
給料の見直し時期は企業ごとの制度により異なりますが、一般的には年度初め(4月)や人事評価タイミング(年1〜2回)に合わせて行うケースが多いです。
賃金制度変更時の社員への説明方法は?
制度変更の背景や目的、変更点とその理由を丁寧に伝えることが大切です。説明会や資料配布、個別相談などを通じて理解を促しましょう。
まとめ
給与体系は、社員のモチベーションや企業の成長に直結する重要な仕組みです。賃金支払いの5原則を守りつつ、自社に合った制度を構築することで、人材の確保や定着、公平な評価、働き方の多様化にも対応できます。時代や組織の変化に応じて、定期的な見直しを行うことが、持続的な成長につながります。
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